初恋 |
−風 |
はじめに感じたのは 風 |
その神秘的な風になびく綺麗な金の髪に目を奪われ |
淋しくてあたたかい 懐かしい香りが鼻腔をくすぐり |
耳は渦のような音をとらえ |
神の使いが舞い降りた |
ああ なんて |
なんて美しいひとなんだろう− |
「・・どうした?」 |
「・・へっ?な、なにが?」 |
「いや・・ぼーっと突っ立ってるから。竜を見るのは初めてか?」 |
「う、うん!すごく綺麗だね!名前はなんて言うの?」 |
「ファタ。運命の女神という意味だ」 |
「ファタちゃんか。はじめまして、あたしリディアだよ。よろしくね!」 |
「・・リディアの言ってること理解しているみたいだな」 |
「あたしもこの子が言ってること、なんとなくだけどわかるよ。竜族の子は賢い子が多いらしいから特に、すごく、伝わってくる」 |
「そうか」 |
「カイン早く行こうって。久しぶりなんでしょ?」 |
「ああそうだな。夕刻には戻る。すまないが」 |
「はーい。行ってらっしゃい!」 |
「・・行ってきます」 |
美しいひとを乗せた女神は大空へと飛び立った |
あたしは見えなくなっても見つめ続けた |
その姿を目に焼きつけて |
その日からずっと |
あなたに魅了されている |
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*あとがき* |
カインが竜を呼ぶところを初めて見たリディアの図。見惚れちゃいました。 |
リディアは自分のことには鈍そうなので、これでもまだ自分がカインに好意を持っていることに気付いていなさそうですが。 |
ちなみに竜を呼んだのは久々に空の散歩をするためです。 |
竜騎士だし自分の竜は持っているだろうなあということで。竜に乗ったカインさんはさぞ絵になると思います。 |